子どもの脳がやられている

子どもの学習障害が異常に増えている

学習障害の増加
(文部科学省によるグラフ)

発達障害や学習障害は遺伝であるといわれてきました。
学習障害のデータが異常に増えてくると、こんどは診断方法や基準が変わったからだと説明されたりします。ある年を境に数が急変しているというのならば、診断基準の変化の問題の可能性があります。しかし、この20年間で、子どもの数は3/4に減っているにも係わらず、子どもの異常が右肩上がりのカーブをなして増えているのです。このデータは子どもの上に、何か異常なことが起こっている可能性を示しています。

農薬が子どもの脳を冒す

欧州食品安全機関(EFSA)がネオニコチノイドの子どもの脳 への影響を警告(2013年12月)

同機関は、2種類のネオニコチノイド(アセタミプリドとイミダクロプリド)が、発達期のヒトの脳神経に影響する可能性があることを公式に表明し、ADI(一日摂取許容量)とARfD(急性参照容量)を引き下げるように勧告しました。
アメリカ小児科学会も声明を出し、小児癌・認識機能低下・行動障害等と農薬(ネオニコに限らず有機リン、DDT他)との関係について警告を出しています。(2012年12月)
EFSAの警告は、日本の黒田洋一郎(医博)氏らの研究が大きな影響を与えているといいます。黒田氏は、虫の神経も人間の神経も基本的な仕組みは同じであり、虫を殺すものは人間にも害がある。特に、胎児や幼児は血液脳関門という化学毒性物質の脳への侵入を防ぐ器官が発達しておらず、影響を受けやすいと言っています。

短期記憶や聴力に障害が現れる

歳をとってくると、物覚えが悪くなり、耳が遠くなります。加齢による衰えが、記憶力や聴覚にまず現れるのは、その部分が脳のなかでもデリケートな部分であるからです。学習障害児の典型的な例は、短期記憶が悪い子です。5秒程度しか記憶が持たない子もいます。ですから、「今、何時」くらいの会話なら可能ですが、少し長い会話になると、もう前のことを忘れていて会話ができないのです。また、難聴、あるいは少し聞こえにくい子が増えています。コミュニケーションの障害からアスペルガー症候群とみなされることもあります。
つまり学習障害児童の場合、歳をとって脳機能が衰えるのと同様(それ以上に)、脳機能のデリケートな部分に障害が発生しているのです。しかし脳全体としては機能し特定分野で優秀な例もあります。
通常の人間が備える記憶などの学習能力が欠如している子どもが5%以上とか、これは生物として通常ありえない数値です。そして、5%が表面化しているということは、潜在的にはもっと大きな率で子どもの脳が損傷を受けている可能性があるのです。

小中学生の6.5%に発達障害の可能性 (日経新聞2012/12)

全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち、人とコミュニケーションがうまく取れないなどの発達障害の可能性のある小中学生が 6.5%に上ることが5日、文部科学省の調査で分かった。推計で約60万人に上り、40人学級で1クラスにつき2、3人の割合になる。しかし4割弱の児童 生徒は特別な支援を受けておらず、専門家は「支援策を話し合う校内委員会などが十分に機能していない」と指摘している。

発達障害児、8年で6倍、認知拡大、教員確保が課題―兵庫県(神戸新聞2015/7)

発達障害の可能性がある兵庫県内の公立小中学生のうち、通常学級に在籍しながら、必要に応じて特別な指導を受けている児童・生徒が2014年度、 1565人に上り、8年間で約6倍に急増したことが兵庫県教育委員会への取材で分かった。「読み・書き」が苦手だったり、授業に集中できにくかったりする 障害への認知が進んだことが背景にある。

問題は極めて重大かつ深刻

神戸新聞によると県教委は「認知が進んだため増加」と解しているようです。10年前に発達障害支援法が制定され、学校現場ではだいぶ前から発達障害に対する認知は拡がっています。それなのに今頃、「認知が進んだため毎年増加」なのでしょうか。
近年、農薬曝露と発達障害の関係を示す研究が次々と発表されています。(本ページ下部のリンク「農薬の子どもへの影響」参照)。アメリカでも子どもの自閉症が急増していますが、米国科学アカデミーは子どもの発達障害や異常行動の少なくとも1/3は、農薬と関係があるとしています。
こういう背景を考えると、「認知が進んだから増加」ではなくて実際に増加している可能性が高いのです。「認知が進んだから増加」で放っておいてよい問題ではありません。
松枯れ対策のみならず、近年は田畑にもネオニコチノイドの空散が行われています。噴霧の霧は松林や田畑に落下するばかりでなく、空中を漂って多くの人が気づかぬうちに農薬を吸っています。この影響が人間に出ている可能性が疑われます。
しかし、原因は他にあるかもしれません。1990年頃から、発達障害やパーキンソン病の増加率のカーブが急上昇しており、旧来の農薬や食品添加物等、様々な原因を調査する必要があります。

われわれの緊急提言

  • 発達障害・学習障害の児童が、生物におこりうる値を超えて異常に増加している。この原因として化学物質が疑われる。しかし、どのような化学物質がどのような経路で子どもの脳を汚染しているのか、不明確な点が多い。国として緊急調査チームを作り原因究明に向けて動かなければならない。
    (調査対象には、農薬、家庭で使う薬品類、予防注射、水道、食品の防腐剤等あらゆる可能性を考慮すべき)
  • 取りあえず、農薬のような毒性の強いものの使用を減らすようにし、使用基準や食品への残留基準を強化すべきである。

予防原則が必要です。原因究明が完全に出来るまでには何年もかかります。特に疫学的な研究は数十年かかります。それから対策をするのでは遅すぎます。こうした問題は、最悪の事態を想定し、あらかじめ悪影響が予想されるものを排除する予防原則が必要です。

発達障害児の人格尊重とは別の問題

発達障害を発達の凸凹と捉えて、彼らの人格を尊重しようとする見解があります。それ自体は望ましいことですが、それは、発達の凸凹を遺伝と捉えた上での認識であることが多く、ともすれば事態の受容、容認に繋がります。一方でこれは損傷かもしれず、せっかく人として生まれながら脳という重要な機能に損傷を受けて生きていくことになっているのかもしれないということを考えるべきです。

パーキンソン病の増加

パーキンソン病
(『増補 新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす』(水野玲子、七つ森書館),p168)

農薬との関係が疑われている病気に、児童の発達障害の他、胆嚢癌・アルツハイマー・喘息・パーキンソン病などがあります。グラフのように異常に増えていることがわかります。この増加はきわめて異常であり、何らかの原因があるということです。その原因として第一に疑われるのは農薬です。

子どもの脳に原因があるとみられるような異常が、5%を超えているという事態は、日本民族が潰れかけているといってよい事態です。極めて深刻です。体の奇形なら見えるが、脳が侵されるのは見えません。多くの国民が異常事態に気づかないうちに状況が悪化しています。問題は異常さに人々が気づかないことです。これ以上被害を広めないために強く声を上げる必要があります。


(参考になる資料)

  • 文部科学省「通級による指導を受けている児童生徒数」
  • 農薬の子どもへの影響
  • ニュースレター82(NPO環境ホルモン対策会議「子どもの発達障害と微量化学物質の影響」)
    外部サイトへのリンク